どす黒い日記帳

展覧会の感想など(主に都内)

#9 ソール兄弟

暑い昼下がり、渋谷へ行った。
目的地へ行く前に、近くのギャラリーへ立ち寄った。

床の上、大きめの石の前に、本の切れ端とバラの切り花が添えてある。

うん。


今日の目的の一は文化村だった。足を踏み入れるたび、
オシャレでハイソサエティな気が充満した空間にどこかしらやられる。
写真家ソール・ライター展。
ある意味、合いすぎて危険な組み合わせである。

この日、2度目の来訪だった。

初めてその名を知った時、「ソール・ライター...魂の作家か?!」と
中学生も呆れるような発想に支配される始末だったが、その写真に引き込まれる。
この系列では、スタイケン、ブルーメンフェルド以来の良い内容と思う。
1度目は、白黒写真つまんないと思っていたが、2度目はわりと面白く見た。
カラー写真がよいのは言うまでもなく。

紙の作品(絵)もよかった。
甘ったるいとか、独自性がないといえばそれまでだが、
写真もそうであるように色彩感覚がよいと思った。1枚くらいほしい。
終盤のヌード写真はつまんない。色ぬったくってるのとか、まるでアラ(略)

会場がオシャレ感でひたひたになっていたこと以外は概ね満足であったが、図録はひどい。
というか、これは図録とは言わない。資料性が皆無だし。ただの本。
なにが「ソール・ライターのすべて」か。


移動する前に、彫刻界のトップランナーの版画展を見る。

相変わらずのこじらせぶりに、苦笑いがこみ上げる。

ついで、目的の二、クエイ兄弟へ。
この展覧会については、感想を述べるに言を弄するまでもないかもしれない。

ドローイングいい。
デコールいい。
ポスターいい。
ダイジェスト映像みじかい。
ダイジェスト映像みじかすぎる。
パネルいらない。
ほんといらない。

去年の葉山の展示は見ていないが、(それゆえ渋谷で開かれたのはありがたいが)
どうしても消化不良の感はある。
映像が命なのだから、もう一つくらい上映スペースあってもいいのにね。
続きはイメフォで!というのは、腑に落ちない。
というか、イメフォ様様であろう。

そういった具合に、渋谷の洗練された文化的環境に浸る半日であった。
クエイ展を後にしてからのことは、記憶がない。