どす黒い日記帳

展覧会の感想など(主に都内)

#8 純粋鑑賞、恵比寿

純粋鑑賞

それは、目的を持たない鑑賞。
そこには感動や満足もなければ、不満や苦渋もない。
鑑賞という行為を今一度見直そうという営為である。

まずは市街地にひっそり建つナデ○ッフへ。

地下の写真展を見る。
無人である。
写真がいっぱい並んでいる。
その時代をときめく作家たちの姿などが写っている。
それ以外に、特に受け取ったものはない。
5分ほどで会場を後にする。

ついで、上階でやっていた絵画展を見る。
やはり誰もいない。
絵画があり、ドローイングもある。
ただ、やはり何も感じない。
それらの絵が好きでもなく、嫌いでもない。
ただ、絵である。
ここも5分ほどで出る。

その後、自ら美術館の頂点であると高らかに主張する美術館へ行く。
コレクション展のテーマは、平成である。
時代を色濃く映し出す写真が並んでいるのかと思えば、実にフラットな内容である。
きっと背後には深い意味があるのだろうが、その時の私は淡々と受け止めるほかなかった。

ここに至るまで、とうとう私の心が動くことはなかった。
狙ったわけではなく、結局そうなった。

こうして、純粋鑑賞の試みがひとつ終わった。
たぶん少し疲れている。