どす黒い日記帳

展覧会の感想など(主に都内)

#11 異邦人

サンシャワーが一時期盛り上がりを見せていて落ち着かなかったので、
私も早いところ行っておこうと思った。

前情報からイメージしていたのは、

①シャイニーなアートクラスタや若者達が歓喜して写真を撮りまくりたくなる
大規模でキラッキラしたインスタレーション
②カップルや家族向けのプレイランドみたいな参加型アート

こういったもので満ち満ちた恐ろしい空間だった。

その予想自体あながち誤りではなかったが、
中には瞑想的な絵画やオブジェのような、
個人的に安心して見られるものもあった。
リポートに上がってくるのは、派手な物、光り物ばかりだが。

そうはいえ、困ったことに東南アジアのアートシーンに殆ど知識が無い上に、
社会に問いかける系の作品のあまりの多さから、さっと見るにも中々つらいものがあった。

唐突に現れたカラオケセットから何を考えればいいのか。歌って踊ればいいのか。
部屋いっぱいに吊り下げられた風鈴から環境問題を想起せよとか、無理にも程がある。
一方で、メッセージが分かりやすく説明的すぎるものも、浅くて弱くなりがちだし。

意識低め、インドア派のアート民なので、
問題意識を始終方々から放たれ続ける展示は説教臭くて疲れるし、モヤモヤも溜まる。
社会に問いかける系は、提起者万能というか、向き合い考えることをしなければ
それは受け取る側の責任であるかのような圧力を出しているように感じるからである。
解説に「問いかけ」「提起」と何回使われていたか数えたくなったくらいだが、
問いかけることばかりがアートの使命ではないだろう。
それに結局、風鈴だってオシャレな撮影スポットとなるのが落ちである。

アートフェスのエネルギーに圧され、雨に打たれた捨て犬のような有り様で、
会場を後にした。会場に充満した思いをシェアできない私が悪いのかと考えながら。

ここに出てきたアクティブなアーティスツとは住む世界が違うと言って仕舞えば、
それまでなのかもしれないけれど。