五月病の只中のせいか、とても意識が低い。
いや、意識が低いのはいつものことだ。
そこで、東京駅丸の内口に構えられた王国に再び乗り込むことにした。
正面から向き合うことすらできなかった前回の反省を踏まえ、体調管理を心がけた。
そして、ウォーミングアップに近所のナビ派展を見に行った。
こちらは王国ではなく、さしずめティーパーティーの趣である。
全体としては平坦で甘ったるい雰囲気にいまいち入り込めないと思いつつ、
丹念な筆致や周到な構想などが見られて興味深い。
個人的にはドニがいい。
途中MITにも寄ったが、これはどうでもいい。
肝心の王国であるが、今度はちゃんと向き合うことができる。
しかし、やはり納得がいかない。
個人的にヴェルフリがあまり好きでないということもあるが、
この展覧会で何が目指されているのかが、よくわからない。
「アール・ブリュットの真打ち、満を持して降臨」といった雰囲気だが、
そんなナイーブなことでいいのかという疑念がぬぐえない。
作品から物語を感じようにも展示されているのは切れ切れの断片だし、
展示の仕方もあまりにそっけない。
前提知識や先入観をできるだけ入れないようにという考慮があるとしても、
主催者側はノーアイデアだからみなさんで考えてね、というのと区別がつかない。
ここまで機械的で無機質な展示を見ると、
担当方々が心神を無にして淡々と処理している光景さえ目に浮かんで恐ろしくなる。
見ている間、どうも落ち着かない気分だったのは、そのせいかもしれない。
そういったことで、やっぱりわからんという結論をもって、王国を後にした。
次は王国とまでいかず、小さな街くらいのものが見たい。