どす黒い日記帳

展覧会の感想など(主に都内)

#6 バベルの湯

眩しくつらい黄金週間も終わったことなので、再び上野に行くことにした。

まずはバベルの塔展である。
タイトルの時点で行く気をなくすところだが、ネーデルラントのオイリーな絵画をまた色々と見たいと思った。

絵画展と思っていたら、冒頭は彫刻である。
教会に奉納されたものだろう。聖人像とか上がる。

一番気に入ったのは、中盤のあたり。
不恰好な馬とか、ソドムが燃えているところとか、こういうのを見たかった、と。
ただ、このあたりで同時に不満も出る。
絵が小さい割に、結界が壁から離れすぎている。ディテールがまともに見られない。
大量動員を捌くことで頭がいっぱいだから、こういうことになるのだろう。

力点が置いてあるボスのコーナー。
「奇想の画家 ヒエロニムス・ボス」とある。ここまで奇想かよ。本当に勘弁してくれ。
ボスの(そこそこ大きい)絵が2点並ぶのはすごいとはいえ、これなら三菱で見た石の切除の方がまだ「奇想」というには近い。
一気に興ざめである。

そしてブリューゲル(略)

結局のところ、1館からまとめて借りてきたパッケージ展だから、
個別の内容は良いにしても、全体のコンセプトが解らない。
バベルの塔!あと、ボスも2点!見てね!!!」がメッセージの全てだと思われた。
上野動物園にパンダ目当てで人々が殺到するように、バベルの塔が1点来れば群衆が大挙するのである。
これが「ボイマンス美術館展 16世紀ネーデルラントの至宝」とかだったら来場者4割減に違いない。

冒頭に彫刻が集中していたのも納得がいった。
あそこくらいしか置き場所がなかったのだろう。


消化不良も甚だしいので、東博でお茶に触れることにする。

こちらは、とてもいい。
茶の湯前史から、時代を下りつつ様々な茶道具や資料が並ぶ。
知識はほとんど無いに等しいが、それでも何となくでも豊穣な歴史が分かる。

展示も工夫が凝らされ、かつ嫌味がない。
小さなものも、さほどストレスなく見ることができる。
どこかのバベ何とか展は見習ってほしいくらいだ。


一通り見終えると、首が痛い。
どちらの会場も、混雑を見越してか、作品やキャプションが高く設置されていたから。
東博の章解説などは、4ヶ国語がつなげられているせいで日本語の位置が高すぎる。
そのうちフランス語やエスペラントも追加されて天井にも届くんじゃないか。

元祖見世物小屋街は体に厳しい。